夜空の鳥の日記

時にそこはかとなく、時につらつらと

好きだから殺す

「好きだから殺す」という心理について、自分なりに考えたことがある。

誰かを好きになると、その人のことを考えるだけで幸せな気持ちになれる。それによって心が穏やかになって、表情も明るくなり、周りの人に良い印象を与えられるようになる。でも同時に、心が狭くなってしまう。その好きな人を、他の誰にも渡したくないと思うからだ。その人が自分だけのものにならないと、気が済まなくなってしまうのだ。他人にはどんどん優しくなれると同時に、誰かがその愛しい人に近づくことを許せなくなってしまう。一途な愛というきれいな感情と、狂しい嫉妬にまみれたドス黒い感情が共存するのだ。

好きな人をただただ愛し続けることが出来れば…それは素敵なこと。やり方を誤らなければ。自分の幸せだけでなく、自分の愛する人の幸せまで願えるようになる、そんな愛し方が理想だと私は考える。だが実際は理想に反し、望まぬ方向へエスカレートしていく可能性が否定できない。愛しのあの人に近づく者は皆消す。ここまでは考えてしまうことがあるにしても、時にその先まで行っちゃうかも知れないことがある。

あなたが私と一緒にいられないなら…、あなたが他の人とともに生きるというのなら…、私はあなたを殺す、って。「好きなのに殺す」のではなく、「好きだから殺す」のだ。好きな人が他の者の手に渡るくらいなら、この手でその好きな人を亡き者にする。そうすれば、好きな、大好きなその人はもうどこにも行かないからって。何てことだ。一番大切で、誰よりも愛しくて、何よりも守り抜きたいその人を殺そうとするんだもの。その人がいなくなったら、それこそ私自身が生きていられなくなるのに? とんでもない矛盾を引き起こすのだ。ここまで来ると、もうどうしようもなくなるだろう。

「あなたが一緒にいてくれるだけで幸せ」

ずっとそんな気持ちでいられたらいいのに。こう感じる時が、最も幸せな瞬間だと思うから。