夜空の鳥の日記

時にそこはかとなく、時につらつらと

本、映画

『黒死館殺人事件』

小栗虫太郎『黒死館殺人事件』を読みました。言わずもがな、夢野久作『ドグラ・マグラ』、中井英夫『虚無への供物』と並ぶ三大奇書の一つです。学問や知識をひけらかす理解の難しい文章が、カタカナのルビや引用を多く使った読みにくい文体で延々と書かれて…

幸せな記憶①

ある女性に恋をした。彼女も僕に対して憎からず想ってくれているようだ。しかし彼女には他に好きな人がいるみたいで…。 ツルゲーネフの『初恋』。岩波文庫の表紙で思いっきりネタバレしている。少なくとも私はネタバレだと感じた。初めて読んだのが青空文庫…

愛すべきおじさんシバラク

『魔神英雄伝ワタル』を急に思い出した。なぜだろうな。 昔好きだったアニメの一つ。虎王、海火子、かっこよかったね。あとツッパリーとスケバーン(笑) そして忘れてはならないのが、シバラク先生。それまでおじさんキャラには全く興味がなかったのに、なか…

『山月記』

中島敦の『山月記』は今まで読んだ本で最も好きな作品。 李徴の姿は私そのものだ。目指すものがありながらそれを切磋琢磨しなかったこと、自尊心を傷つけられるのをいさぎよしとしなかったこと、そして過去を空費したこと。人前に出られなくなった、人と共に…

乱歩を読む

江戸川乱歩に少し興味が湧いたので読んでみる。ありがとう青空文庫。 『屋根裏の散歩者』 明智がしゃしゃり出てこなければ、完全犯罪を成し遂げられたのにって話。証拠を明智がでっち上げたところで興醒め。 『人間椅子』 「これ、一体どうなるのよ…?」とペ…

賢治を読む

最近宮沢賢治が好きです。 あるナレーターの『春と修羅』の朗読がお気に入りです。この朗読を寝る前に流すと、いい感じに眠りにつけるのです。…眠れるのはいいんだけど、たいていすぐ寝ちゃうから最後まで聞けてない。それが残念だ。 好きな声だから、退屈で…

感想を書く〜『アリーテ姫』〜

アニメ映画『アリーテ姫』を見ました。 世界は素晴らしい物や役に立つ物で溢れている。美しい絵や宝石、武器、建物や乗り物…そして魔法。そういう知識や知恵がどこから来たにせよ、それらを作り出して来たのは人間。だから、人間には計り知れない可能性があ…