夜空の鳥の日記

時にそこはかとなく、時につらつらと

スカイリム語録⑤

「自らの経験を超えたものは起こり得ないとして退けるのは、まさに馬鹿のする事だ」

ホワイトランの王宮魔術師ファレンガーの台詞。自分の知っていることだけが、自分の経験してきたことだけが世界の全てと思っている人もいるもので。しかし想像を遥かに超えることはこの世界に沢山ある。あなたの目の前にいる人があなたの想像しているような人間で間違いないと、どうして言い切れる?

「やっとだな。さあ、消えてくれ」

マルカルスの物乞いディゲインにゴールドを施すと返ってくる台詞。会話終了時には「今度はもっと金を持ってこい」とまで言われる。あんまりな言われように衝撃を受け、もうこいつには二度と金をなんか恵んでやるものかと思った。

しかし、よくよく思い返すと、私の嫌いな『先入観』が、彼に金をあげようとした瞬間に無意識のうちに働いていたことに気づく。つまり私は、「施しを求める者に金を恵んであげれば、必ず感謝されるものだ」と思い込んでいて、今、金をあげたこの男からもきっと「ありがとう」という言葉が返ってくるに違いないと、自分の頭の中だけで決めつけていたということだ。

自分の考えていたのとは違う言葉や態度が返ってくれば困惑するし、予想だにしていなかった相手の反応の仕方は、しばしば「そんなことするなんて(そんなことも出来ないなんて)こいつはおかしい」という偏った評価を下してしまう。

皮肉にも、「自分だけの常識や先入観で他人や物事を見るな。全ての人があなたと同じ生き方、考え方ではないのだから」と誰よりも強く訴えたい私が、まさに自分の先入観だけで人や物事を判断してしまっていたわけだ。

自分の考えの範疇にない人を「ああ、こういう人もいるのか」と知ること。人に求める前に、私自身がまずそれをしなければならないのだ。