誰が何の病気とか、誰の職場はどことか、誰の家族がどうこうとか。人はなぜか、他人や他家の事情を知っていることが多い。それは、自分や自分の家族が何気なく誰かに話したことが、その誰かの口からどんどん他の人へ広まるからだ。こうなっては、他人に自分の話をする時は、全世界に向けてマイク片手に大音声で自分のことを語るようなものと考えていい。だから、話す相手は慎重に見定める必要があるのだ。相手がおしゃべりクソ野郎でないかどうかを。とりわけ自分の本音は、本当に信頼できる人、秘密を守れる口が堅い人にしか話さないことだ。あるいはこの日記のように、自分の正体を隠して言葉を選びながら話すしかない。